DICは地域の暮らしを支える「縁の下の力持ち」——江東区の小学校で開催した出前授業にせまる
社会インフラの維持修繕を支える第一カッター興業株式会社(以下、DIC)は、地域の一員として、住民の暮らしを支える活動にも力を入れています。その一環として2023年2月、DIC東京支店は地元小学校の6年生に向けた「出前授業」を実施しました。建設業の魅力を伝えるとともに、キャリアについて考えるきっかけを届ける本企画。担当した東京支店の支店長を務める須藤さんから、プロジェクトの背景や授業をするうえで工夫したポイント、そして地域貢献にかける想いを聞きます。
建設業の魅力を伝える体験型プログラム
須藤さん
——まずは、「出前授業」を実施した目的を教えてください。
「出前授業」は、キャリア教育の一環として、建設業の魅力やインフラメンテナンスの意義を知ってもらうための授業です。DICの東京支店から徒歩数分のところにある、江東区立香取小学校の6年生向けに開催しました。
授業ではまず、建設業が社会の役に立っていることを知ってもらうために、川に囲まれた江東区の地形に注目して、ダムの建設や治水の工事について説明。続いて、実際にDICが工事した現場の写真を見せながら、老朽化したインフラの維持・補修がどのように行われているかを解説しました。上下水道や橋、高速道路での工事のような、小学生にとっても身近に感じられる事例を集めたんです。
また、話だけでは飽きてしまうので、我々が実際に使っている工具やマシンを触ってもらう時間もありました。安全靴を履いて友達同士で踏みあったり、ハーネスをつけて引っ張りあったり、ワイヤーソーで柔らかいコンクリートを切断したり、体験型の授業を意識したんです。
——体験できるとより魅力が伝わりやすそうですね。その他の工夫はありますか?
授業づくりは初めてだったので、学校の先生たちにアドバイスをいただきながら、説明する内容の順番や資料の見せ方を工夫しました。例えば、いきなり難しい説明をしても聞いてもらえないので、授業の導入には「クイズ」を準備。また、この授業で学べることを3つにまとめて提示する「めあて」の時間、最後に授業内容に関する簡単な問題に答えてもらう「まとめ」の時間を設けました。これらは、普段の小学校の授業でも導入されているフォーマットです。先生方が教えてくれたおかげで、想像以上にいいプログラムができました。
子供たちから送られた感謝の手紙
——生徒さんたちの反応はいかがでしたか?
かなり興味を持ってもらえたようで、質問タイムには、想像以上にたくさんの質問がきました。なかには工具の値段について聞かれたり、就業時間や残業の有無について聞かれたり、具体的な質問もあって、6年生は思った以上に大人なんだと驚いたんです(笑)。
また、授業前に「建設業に興味ある人?」と聞くと、3人くらいしか手をあげませんでしたが、授業後には、30人ほぼ全員があげてくれました。男女関係なく興味を持ってもらえてよかったです。
しかも、感謝の手紙を書きたいという声が子供たちからあったようで、後日、A4用紙にびっしりとメッセージが書かれた全員分の手紙が届きました。なかには「将来の選択肢のひとつに入りました」という言葉も。建設業の魅力が伝わったことを実感しました。
——今回のプロジェクトは各部署からメンバーを募ったと聞きました。いつもとは違うチームの取り組みはいかがでしたか?
一緒に授業を作ってくれた社員のみんなが、想像以上にいいものを作ってくれたことを頼もしく思いました。授業の内容はメンバーがすべて考えてくれたものです。あえてバラバラの課から8名のメンバーを選出したのですが、うまく時間を見つけて取り組んでくれたことで、社員同士のつながりもできたのかなと思っています。
メンバーのみんなは真剣に取り組んだからこそ、生徒さんからの手紙が嬉しかったようで、1.5m四方のパネルに、当日の写真と手紙を貼り付けて玄関に飾ってくれました。パネルには、江東区亀戸で有名な「藤の花」をモチーフにした飾り付けが施されています。
地域住民の暮らしや安心に寄り添う
——社員のみなさんにとっても素晴らしい機会になったんですね。須藤さんはご自身は、今回のプロジェクトにどんな想いがあったんですか?
東京に赴任する前にいた札幌営業所で同じようなプロジェクトをやったことがあり、地域貢献活動の良さを感じていたんです。札幌では毎週水曜日に、生徒さんの登下校の見守りをしていたのですが、その縁で地域の学校から「お仕事体験教室」を開催して欲しいと相談をもらったんです。夏休みだったこともあり時間もたっぷりとれたので、野外で実際の機械に乗って操作してもらうような授業にしました。
その時に一緒にやってくれた社員はすごく楽しそうにしてくれていたし、体験してくれたお子さんは、街中で声をかけてくれるようになったんです。社員のみんなの本業に対する意欲もさらに高まったように感じました。そうした良い反応が生まれるのを知っていたため、東京支店でもやろうと思ったんです。
——今回の出前授業のように、地域との関わりを持つ活動は他にもされていますか?
東京支店では初めての活動でしたが、DICとしては過去にも行っています。例えば、本社がある茅ヶ崎営業所では、地域の小学1年生に向けて、黄色い帽子を無料配布しました。子供たちが安全に登校できる地域づくりのために、2021年に始まったこのプロジェクトは、今でも毎年行われています。
私たちは社会インフラというハードを守るだけではなく、地域住民の暮らしや安心にも寄り添いたいと思っているんです。せっかく事業所がありますから。地域の困りごとを少しでも解決していくことも、役割のひとつだと思っています。
私自身も、1年半前に東京支店に赴任した際、周辺の方に困りごとがないか聞いてまわりました。顔が見えることで少しは安心してもらえるじゃないですか。そうした姿を通して、地域の方に社会インフラや建設業の大切さを伝えていければと思っています。
建設業の魅力の発信源でありたい
——出前授業は今後も続けていきますか?
本業とのバランスやタイミング次第ですが、先生方からは「今までの出前授業で一番だった。来年もやって欲しい」という連絡もいただいたので、なるべく実現したいと思っています。また、江東区の学校の先生たちが集まる会議でも、今回の授業について紹介してくださるようなので、もしかしたら他の学校にも広がっていくかもしれません。こうした活動を通して、建設業界の従事者を少しでも増やせたら嬉しいですね。もし出前授業がきっかけでDICに入社するような人が出てきたら、感動すると思います。
——「あの時の小学生です!」って言われたら嬉しいですよね。では、最後にDIC全体としての地域貢献活動の展望を教えてください。
あまり大きなことは言えませんが、こうした地域貢献活動は各事業所で積極的にできるといいと思っています。最初は大変かもしれませんが、いざ始めてみれば楽しいですし、本業のパフォーマンスにもつながってくるはず。もちろん本業が順調なことが大前提なので、余裕がある範囲で自然とやっていくのが理想ですね。
DICは、構造物の撤去や修繕をおこなう専門工事業のリーディングカンパニーです。建設物をつくる仕事とは違って、あまり表には出ない縁の下の力持ちではありますが、人が安心して暮らせる社会にこうした仕事は欠かせません。地域の方達と触れ合う中で、私たちがそうした建設業の魅力を伝える発信源でありたいと願っています。